チェスキーニ氏の肖像

チェスキーニ氏の肖像

寸法: 193.9x259.1cm

年代: 1986

素材・技法:顔彩・カンヴァス

所蔵:奈良県立美術館

解説

「チェスキーニ氏ことレンツォ・チェスキーナ氏とは、ヴェネツィアの大運河沿いの館に暮らしていた富豪である。私の滞在中に彼の弟が身代金目当てに誘拐されたことがあり、政情不安のイタリアでは生と死は紙一重であることを意識させられた。
 画面の中でドアの近くを浮遊するのは、帰国後、絵を描いたころに飼っていた犬のラボニア。年老いて小屋にこもりきりになっていたのだが、ある日、別れのあいさつを済ませた彼は死んだ。だから身体が宙に浮かんでいる。
 ラボニアの視線の先には、愛し合いながら風化していく男女。生と死は、イエスとノーのように対立するものではなく、生命は切れ目なくつながり、循環している。画面の中のイメージにさまざまな意味を含ませている。
「絹谷さんが描く人はどうしておしゃべりしたり、歌ったりしているの」とはよくいただく質問なのだが、確かにう彼らの口からは聖書のフレーズや経文の一節、言葉にならないつぶやきが漏れる。
[…]ゴシック期の画家シモーネ・マルティーニが描いた『受胎告知』の天使がマリアに神のお告げを伝え、京都・六波羅蜜寺の『空也上人像』の口から阿弥陀仏が現れ出てくるように、言葉とは単に消えてなくなる音なのではなく、神や仏の現前なのである。(『絹谷幸二 自伝』)

Ceschini Shi no Syouzou[Portrait of Mr.Ceschini]

Size: 193.9x259.1cm

Date: 1986

Mediums:Pigments,Ccanvas

Holding:Nara Prefectural Art Museum

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